「角運動量の惑星集中」って、本当に信じてるの?
太陽系の運動量について天文学者はこのように説明している:
- 「惑星の公転による角運動量は太陽系全体の角運動量の98%」
- 『惑星の軌道角運動量は太陽の自転角運動量の約190倍(99.48%)』
- 「太陽系の質量の太陽集中、角運動量の惑星集中」
これを初めて見たとき、
天文学者はそんなことを本気で信じているのか、と驚いた。
言葉の違い、数値の微妙な違いにも惑わされる。
トップクラスの専門家がそう言っているのだから、
なにか高度な計算をしているのかと思いきや、
結局、 それは高校の物理レベルの常識的な単純な計算に過ぎない。
いたって教科書的で、模範解答そのものなので、
頭が良ければ良すぎるほど、まったく疑問を持たない。
そこに、落とし穴があることに誰も気づかない。
これほど常識を疑うことの重要性のある問題に出会うことは滅多にない。
線運動量mVは無に等しい(従来の理論の矛盾)
線運動量がmVであるという従来の間違った考え方では、
太陽系惑星の角運動量に比べて線運動量は無に等しいレベルなってしまう。
全運動量は角運動量(自転)とほぼ同じ値になってしまう。
それがそもそもおかしい。
惑星は角運動量に支配されているとでも言うのだろうか?
太陽系の惑星と言う具体的なデータから見ても、「<span style="color:red; font-size:12pt">運動量の再定義</span>」の必要性、正当性があることを示している。
「公転角運動量説」は天動説
"Orbital Angular Momentum Model" is Geocentric Model
「太陽系の科学」(参考文献[24]p.142)で、角運動量に関して以下のような記述があり、巨大惑星(木星〜海王星)は特別な存在であると考えられている。
太陽系の特徴の1つ:
質量の太陽集中(99.8%)
角運動量の惑星集中(98%)
というもっともらしい考え方から、以下のような学説が標準モデルとなっている。
太陽系全体の角運動量(公転角運動量と自転角運動量の和)は、
98%(木星が60%)が惑星の公転角運動量(角運動量の惑星集中)。
惑星の公転の角運動量は自転の角運動量よりもはるかに大きい。
それが、太陽の形成に大きな意味を持った。
太陽の角運動量のほとんどが巨大惑星に移ったお陰で太陽は収縮できた。
この学説を「公転角運動量説」と呼ぶことにしよう。
公転角運動量は、軌道角運動量とも呼ばれている。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} 惑星の全\color{blue}{角}運動量L=&公転\color{blue}{角}運動量L_{op}+自転の角運動量I_c\omega_{rp}\\ \approx&m\hspace{2pt}\color{blue}{R}\hspace{2pt}V+\frac{2}{5}m\hspace{2pt}r^{2}\frac{2\pi}{t_{rp}}\\ \approx&m\hspace{2pt}\color{blue}{R}\hspace{2pt}V\\ L_{op}=&m\hspace{2pt}\color{blue}{R}^{2}\hspace{2pt}\Omega:\color{blue}{公転角運動量}\\ =&m\color{blue}{R}V\\ m&:惑星の質量[kg]\\ R&:惑星の平均公転半径[m]\\ \Omega&=\frac{V}{R}=\frac{2\pi}{T}: 公転の角速度[rad/s]\\ V&:惑星の平均軌道速度[m/s]\\ T&: 公転周期[s]\\ I_c&\approx\frac{2}{5}m\hspace{2pt}r^{2}:惑星の慣性モーメント(均質な球体と近似)\\ r&:惑星の赤道面での半径[m]\\ \omega_{rp}&=\frac{2\pi}{t_{rp}}:惑星の自転の角速度[rad/s]\\ t_{rp}&:惑星の自転周期(Rotation\hspace{2pt}Period)[sec]\\ \end{align} } $ } } \]
惑星の公転運動が質点の運動と等価であるとする実にもっともらしい理屈に基づいている。
角運動量の保存則というこれまたもっともらしい考えを導入している。
惑星の平均公転半径Rが大きくなればなるほど、つまり、
太陽から遠くなればなるほど、公転角運動量の値が大きくなる。
そして、巨大惑星(木星、土星、天王星、海王星)という偶然が重なって、その値mRVが際立って大きくなってしまう。
これは、完全な間違い(非科学)です。
公転角運動量mRVという部分が間違っている。
mRVとは実は、向心力の運動量です。
もし、太陽の重力が突然ゼロになったとしたら、
従来の理論では、線運動量mVで惑星が直進を始めることになる。
惑星の運動量は保存されるはずなのに、mRVからmVへと突然変化するのは矛盾している。
それは、<span style="color:blue; font-size:12pt">惑星を質点と見なしたことが元凶</span>です。
ハンマー投の運動量を調べてみれば、
この矛盾を理解することができるでしょう。
結局、公転角運動量がmRVであることも、線運動量がmVであることも、両方とも間違っている。
そんなことは信じられないと思うでしょう。
でも、それは、「平行軸線定理」という定理の中に既に隠れていた事実です。
隠れていたことに誰も気づかなかっただけです。
巨大惑星という偶然が太陽系を決定づけたとする論理には無理がある。
それは、天動説と同様に、宇宙の中で太陽系が特別な存在であると考えたい人の心が作り出した幻想に過ぎない。
天文学、物理学の専門家が、
このような初歩的で単純なミスを犯してきたことは驚きです。
これは、物理学が剛体の線運動量と角運動量、特に線運動量というものを正しく理解していなかったことによる必然的な(最悪な)結果です。
科学者というものは、つねに、常識を疑う必要がある。
それを怠った代償はとてつもなく大きい。
この間違いに気づいたとき、
天文学者や物理学者たちは、初学者の気持ちを思い出すことになるでしょう。
こんなことに気づかなかったことが恥ずかしくて、非を認めたくないと思うに違いない。
天動説を捨てるのに何千年もかかったように、
間違いを認めることはなかなか難しいものです。
でも、遅かれ早かれ、
公転角運動量説(天動説)が間違っていることが物理学・天文学の常識になる日は来るでしょう。
それでは、次に、惑星の全運動量を明らかにしよう。