角運動量は理解しているようで理解していない(2012年、日本)
角運動量とは何か?
一般論としては理解されているように思えるが、
具体的な事例(前のめり転がりとフライホイール)で扱ってみると、
その概念が明確に理解されていないことが分かる。
「角運動量」は回転の勢いではない
運動量mVは勢いのようなもの、と説明される。
直進運動に関しては、それは、もっともらしい感じがする。
角運動量Icωも回転の勢いであると、説明している人もいる。
しかし、それに<span style="color:red; font-size:12pt">疑問を持っている人</span>もいる。
私も勢いではない、と思う。
「角運動量」は回転の破壊力(2012年、日本)(世界初!!)
運動量m・rVは破壊力、と言うことが分かったので、
角運動量も回転の破壊力、と言えるだろうか?
ツルツルの球体が回転しても、破壊力があるとは言えない。
でも、ドリルのようにギザギザがあれば、確かに、破壊力がある。
回転が速ければ速いほど、破壊力がある。
慣性モーメントが大きいほど、回転による破壊も強いと言える。
バレーボールのドライブサーブも、やはり、破壊力が強い。
それは、ボールを受ける手や腕との摩擦があるからです。
角材を回転した時の破壊力の例が一番理解しやすい。
つまり、抵抗があれば、破壊力となり得る。
運動量m・rVは、何かに衝突するような時に破壊力が発揮される。
それと同様に、角運動量も抵抗を受ける時に破壊力として認識できる。
運動量にも角運動量にも共通する解釈と言える。
転がりは、
抵抗(転がり摩擦)が弱いため、破壊力と分かるようなレベルにならない。
つまり、潜在的な破壊力がある状態と言える。
角運動量は瞬間的に変化しない
グリーン上でパットした時、
並進速度(運動量)が瞬間的に変化(発生)するのとは違って、
角速度(角運動量)は瞬間的には変化(発生)しない。
そこが、根本的に性質が異なる。
「運動量と角運動量を加算することに意味はない」という思い込み
ボールが転がっている時に、
回転エネルギーと並進の運動エネルギーを加算したものが全体のエネルギーであるのは間違いない。
ところがその一方で、運動量と角運動量を単純に加算しても意味があるとは考えられて来なかった。
意味がないと思い込んでいた。
それは、運動量をmVと思い込んでいたからです。
慣性モーメントが大きいものが角運動量を蓄積することはない
フライホイールでは慣性モーメントが大きいものが回転エネルギーをいったん蓄積する。
外見では見分けがつかない2つの物体が同じ角速度で回転していても、どれだけの回転エネルギーを蓄積しているのかを見分けることはできない。
フライホイールは同じ角速度の割に大きな回転エネルギーを持っている。
それでは、慣性モーメントが大きいものがより大きな角運動量を見えない形で蓄積していると言えるだろうか?
それはあり得ない。
角運動量は蓄積するようなものではないからです。
そこが、エネルギーとは違う。
慣性モーメントが変化しても角運動量は保存される
フィギュアスケートのスピンは「角運動量の保存」の定番の例として示される。手を縮めることは慣性モーメントを変化させる(小さくする)ことを意味する。
これは回転中心が同じ場合です。
回転中心が移動した場合にも、やはり、慣性モーメントが変化する。
つまり、回転中心が移動しても、角運動量は保存されることを意味する。
接地点回りで発生する角運動量の合計は中心回りの角運動量と等しい
つまり、「前のめり転がり」では、接地点回りで発生した角運動量は、中心回りの角運動量になる。
前のめり転がりでは、瞬間的には接地点回りの回転が起きるが、平面上を移動しているという制約があるため、本当に1つの固定した接地点回りで回転できないので、ボールの中心へと回転中心が瞬間的に移動する。
ただし、真の転がりとは接地点回りの回転であり、本当に中心回りで回転している訳ではない。あくまでも、並進と回転という2つに分解して考えれば、中心で回っているのと等価であるに過ぎない。
この角運動量の変化から、前のめり転がりの時間が求められる。
見かけより大きなエネルギーを蓄積しつつ、角運動量は見かけ通り
「前のめり転がり」ではフライホイール効果によって、
接地点回りで見かけの角速度の割に大きな回転エネルギーを蓄積すると同時に、(ボールの中心回りの)角運動量は見かけの角速度通りの値を示す。
この一見矛盾する状態が存在する。
角運動量と回転エネルギーは単純な関係ではないことを示している。
前のめり転がりの前半は、このような一見奇妙な状態になっている。
従来、観測データ(見かけの並進速度と角速度の時間変化)だけで判断してしまったため、誤った考え方(滑り摩擦モデル)を信じ込んでいた。
それは、具体的な計測データを詳しく解析することで証明できる。