運動量の変化は思った以上に複雑(2012年、日本)
- 前のめり転がりの全運動量の変化
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- パットした瞬間の全運動量
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- ωfのときの全運動量
前のめり転がりの前半と後半の違い
並進の運動エネルギーと回転エネルギーの比が5:2になるまで、
接地点回りの回転エネルギーとして蓄積される。
それが、前のめり転がりの前半です。
前のめり転がりの後半も、並進速度の方が角速度よりもまだ大きいので、
形式的には、つまずき続けるが、つまずくことで角速度(角運動量)が増加するのではなく、蓄積された回転エネルギーが解放されることで増加する。
真の転がりになれば、つまずかなくなるので、それ以上回転が増加することはなくなり、それ以降は、転がり摩擦によって、接地点回りの回転(転がり)は減速する。
ωfのときの全運動量 (2012年、日本)(世界初!!)
− 前のめり転がりのほぼ中間
このときは、パットした瞬間や真の転がりのときのように単純ではない。
パットした瞬間や真の転がりのときは、全運動量は、
- Ipω=Icω + m・rV
という等値関係がある。
ところが、角速度がωfになったとき、つまり、接地点回りの回転エネルギーとして蓄積し終わった時は、一致しない。
- Ipωf≠Icωf+ m・rVf
これは、見えない形でエネルギーを蓄積しているためです。
エネルギーと違って、運動量は蓄積するものではないので、
このような違いが出る。
Ipωfという値が小さいのは、そのためです。
だから、全運動量として正しい値は、
- Icωf+ m・rVf
の方です。
並進の速度Vf=V1は、観測された値が正しいので、
運動量mVf・rもまた見かけの値ではない。
全運動量はこれよりも大きな値でなければならない。
だから、Icωfを加えた値が正しいと言うことになる。
Ipωが全運動量なのは、あくまでも、パットした瞬間や真の転がりのような定常状態の時に限られるということです。エネルギーが見えない形で蓄積している時には、正しい値を示さない。
減った運動量だけ角運動量が増えると言うような単純なものではない
減った運動量の分だけ角運動量が増加すれば、計算は楽ですが、
教科書の定番の「衝突問題」とはそこが違う。
つまり、転がりの運動量と角運動量との間に、運動量の単純な受け渡しをするというような関係性はない。