運動量とエネルギーの違い(2012年、日本)




Real Science of Golf


 

 





パットした瞬間の全運動量 (2012年、日本)(世界初!!)
mV0・rでもmV0でもない





パットした瞬間はまだ回転していないと考えて、
そのときの全運動量はmV0・rと考えたくなるが、これは間違いです。
もちろん、mV0でもない


なぜだろう?


それは、最初から接地点回りで回転を始めるからです。
摩擦がなかったり空中へ打ち出されたケースとは違うということです。


全運動量の式に当てはめてみるとよく分かる。


もし接地点回りで回転していないとすると、
角速度ω0=0となって、全運動量(接地点回りの回転)がゼロということになってしまう。
それではと、中心回りの回転を示すIcω0の項だけがゼロになって、
mV0・rの項が残る、と考えたくなるが、それも間違いです。
全運動量の式は接地点回りの回転を変形したものだからです。


この点は、私自身、最初、勘違いしたくらいです。


転がりは、最初から最後まで接地点回りの回転なので、打ち出した瞬間も接地点回りで回転を始めている。それは、グリーンに接地しているからです。


現実にはパターのロフト角のために空中に飛び出る形になる(バウンドする)けれども、パットした瞬間は接地しているので、最初から空中にあるのとは違う


そして、パットした瞬間の角速度ω0というのは、
つまずくことで並進速度V0が角速度と同等の役割を果たすことから来ている。決して、見かけ上のものでもないし、架空のものでもない。


仮に、パットした瞬間の全運動量がmV0・rであるとすると、
真の転がりになった瞬間の全運動量(1.18 mV0・r)の方が大きくなってしまう
エネルギーを損失することなく真の転がりになるので、全運動量が保存されるのならまだしも、増加することはあり得ない


同じエネルギーであっても、<span style="color:red; font-size:12pt">角運動量の方が運動量よりも小さい</span>ことから考えても、増加することはあり得ない。
だからこそ、前のめり転がりの間に全運動量は減少する。






このように、あらゆる点で、接地点回りの回転(転がり)のことを今までいかに理解していなかったかが分かる。



パットした瞬間の角速度はゼロなのに、角運動量は最大。その理由





パットした瞬間はまだ回転していないので、
確かに、観測上の角速度はゼロです。
ゼロから一定の角加速度で増加して行く。


それなのに、なぜ角運動量は最大なのか?
なぜ、角運動量を計算するための角速度ω0はゼロではないのか?


この矛盾に納得が行かないかもしれない。


それは、計測される角速度というのは、
角運動量があって、回転しようとするからこそ生まれる。


角運動量と言うのは、いわば、回転を生み出す原動力のようなものです。


そして、その根源は、結局、並進の速度です。
つまずくことによって、並進速度が角速度のように振る舞うからです。


進むにつれて並進速度が落ちて(エネルギーが転換されるため)、
回転を生み出すための角運動量も落ちて行く


だから、パットした瞬間の角運動量が最大なのです。
一方で、観測される角速度は段々増加して行く。


このように、矛盾はまったくない。


結局、前のめり転がりのときの並進速度というのは、
運動量であると同時に、角運動量でもある。
一人二役を演じている。
前のめり転がりの間は、二面性がある。


並進速度があるから直進するのではなく、運動量があるから直進する。
それと同様に、角運動量があるからこそ、回転する。



パットした瞬間の全運動エネルギー
− 運動量と運動エネルギーの本質的な違い







パットした瞬間の全エネルギーK0は、最初から接地点回りで回転しているからと言って、接地点回りのエネルギーと考えるのは間違いです。


\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} K_{0}=&\frac{1}{2}mV_{0}^{2}\ne\frac{1}{2}I_{p}\omega_{0}^{2}\\ &ただし、回転を加えていない場合。\\ \end{align} } $ } } \]


そこが、運動量とエネルギーは異なる。


パターで与えられたエネルギーは、並進の運動エネルギーなので(回転を加えない場合)、エネルギー的には、回転しているとは言えない


つまり、角運動量はつまづくという運動が発生した瞬間に発生(存在)するが、
回転エネルギーは時間と距離が必要であり、時間と距離の経過とともに蓄積することで初めて存在が確認できるものだと言うことです。


そういう本質的な違いがある。
運動量とエネルギーにはそういう違いがある。


だからこそ、パットした瞬間の全運動量は、mV0・rでもmV0でもない。