HOME > Golf > 転がりの科学 > 転がりの科学(基本編) > (ステップ1) まずは、平面 > 転がりの基本原理 > 基本概念 > 全運動量 > 前のめり転がりの全運動量の変化(2012.05.19〜06.03)

運動量をm・rVと表わすことで全運動量の変化を正しく評価できる(2012年、日本)




Real Science of Golf


 

 





全運動量の変化は単純ではない


  1. パットした瞬間
  2. 角速度ωfのとき(接地点回りの回転エネルギーとして蓄積したとき)
  3. 真の転がりになった瞬間



前のめり転がりのこの3つの段階の違いを知ることによって初めて、運動量、角運動量、そして全運動量とはどういうものかを知ることができる。


前のめり転がりと言うのは、運動量、角運動量のことを理解する上で、格好の題材です。
フライホイール効果の運動は学問的にもほとんど扱われたことがなかったからです。


定番の「衝突問題」で運動量のことを知ったつもりになっていただけだと痛感する。


最初に、3つの段階の結論を示す。
この3つを見比べることが理解に役立つからです。


それを見た上で、1つずつ説明して行きましょう。

\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} パットした&瞬間の全運動量PL_{0}は、\\ PL_{0}=& I_{p}\omega_{0}\\ \color{red}{=}& I_{c}\omega_{0}+mV_{0}\cdot r\\ =& \frac{7}{5}mV_{0}\cdot r=1.40\cdot mV_{0}\cdot r\\ 接地点回り&の回転エネルギーとして蓄積した時の全運動量PL_{f}は、\\ PL_{f}=& I_{c}\omega_{f}+mV_{f}\cdot r\\ =& \sqrt[]{\frac{5}{7}}\left\{{\frac{2}{5}\sqrt[]{\frac{2}{7}}+1}\right\}mV_{0}\cdot r\approx1.0259\cdot mV_{0}\cdot r \approx\color{red}{0.733}\cdot PL_{0}\\ \color{blue}{\ne}&\color{blue}{I_{p}\omega_{f} = \sqrt[]{\frac{2}{5}} mV_{0}\cdot r\approx0.633\cdot mV_{0}\cdot r}\\ 真の転がり&になった瞬間の全運動量PL_{1}は、\\ PL_{1}=& I_{p}\omega_{1}\\ \color{red}{=}& I_{c}\omega_{1}+mV_{1}\cdot r\\ =& \sqrt[]{\frac{7}{5}}mV_{0}\cdot r\approx1.18\cdot mV_{0}\cdot r\approx\color{red}{0.845}\cdot PL_{0}\\ つまり、&全運動量は最初の約0.85倍に減少。\\ I_{p}=&I_{c}+mr^{2}=\frac{7}{5}mr^{2}:接地点回りの慣性モーメント\\ I_{c}=&\frac{2}{5}mr^{2}:中心回りの慣性モーメント\\ \omega_{0}=&\frac{V_{0}}{r}:パットした瞬間の実質的な角速度。観測される角速度はゼロ。\\ \omega_{f}=&\sqrt[]{\frac{2}{7}\frac{5}{7}}\frac{V_{0}}{r}:接地点回りの回転エネルギーとして蓄積した時の角速度\\ V_{f}=&V_{1}:接地点回りの回転エネルギーとして蓄積した時の並進速度\\ V_{f}\ne&r\cdot\omega_{f}:同じではない\\ \omega_{1}=&\sqrt[]{\frac{5}{7}}\frac{V_{0}}{r}:真の転がりになった時の角速度\\ V_{1}=&\sqrt[]{\frac{5}{7}}V_{0}:真の転がりになった時の並進速度\\ r=& 0.02135[m]:ゴルフボールの半径\\ \end{align} } $ } } \]