電子は角運動量しか持たないのか?(従来の理論の矛盾)
原子、分子論では、
線運動量は存在せず、角運動量のみ扱われている。
それは、線運動量と角運動量の次元が一致しないという間違った理論の結果と言っていい。
ここでは、もっとも単純な原子、水素原子(陽子1個、電子1個)を考えてみることにしよう。
プランク定数はいくつもの見方があることを今回初めて知った。
その中で、プランク定数hを2πで割ったものが、
- 角運動量の基本単位 ℏ = h/2π= 1.054e-34 kg・m2/s
と考えられている(参考文献[23]p.299)。
また、軌道を回る電子について(参考文献[23]p.300)、
電子は、軌道角運動量とスピン角運動量との和の角運動量を持つ。
軌道角運動量もスピン角運動量も離散的な値を持つ。
と考えられている。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} 電子の全運動量=&\color{blue}{軌道角運動量}L_o+スピン角運動量L_s\\ つまり、軌道角運動量&とスピン角運動量は\color{blue}{同じレベルの値}。\\ L_o=&m_e\color{blue}{R}V=\bar h\times n: 軌道角運動量\\ L_s=&\color{blue}{\frac{\bar h}{2}}\times n: スピン角運動量\\ m_e=&9.1093897\hspace{3pt}10^{-31}[kg]:電子の質量\\ R=&0.529\hspace{3pt}10^{-10}[m]:電子の軌道半径(ボーアモデル)\\ V:&電子の軌道速度[m/s]\\ h:&プランク定数\\ \bar h=&\frac{h}{2\pi}=1.054\hspace{3pt}10^{-34}[kg・m^{2}/s]:\color{blue}{角}運動量の基本単位\\ n=&1,2,…:整数\\ \end{align} } $ } } \]
惑星の公転角運動量という天文学での考え方とまったく同じです。
このように、角運動量しか考えられていない。
しかし、2つの角運動量を同時に持つことなどできない。
その和を取ることは、物理法則に反する。
軌道角運動量mRV(=mR2ω、Rは軌道半径)とは、
惑星の公転角運動量と同様に、向心力の運動量であり、
電子が持っている訳ではない。
それは陽子が持っている(作用している)運動量である。
向心力の運動量(軌道角運動量)とスピン角運動量の和をとることはまったくの無意味です。
そのことを科学者は完全に誤解している。
科学者は、目に見えない素粒子を質点、いわゆる点粒子(point particle)と考えるのが当然だと思い込んでいる。
<span style="color:blue; font-size:12pt">惑星ですら質点と考えてしまう</span>のですから、無理もない。
そのことが、電子が軌道角運動量mRVを持つという間違った考え方をしてしまった原因です。
軌道角運動量は、軌道(軌道半径R)を決めていると言う点では正しい。
それは、向心力の運動量(軌道角運動量)を通して、電子の持つ線運動量を間接的に見ているに過ぎない。
惑星系形成論と同様に、素粒子物理学でも、このような非科学的論理の上に理論が成り立っている。
電子のスピン角運動量の矛盾(従来の説)
電子のスピン角運動量と軌道角運動量は、同じレベルの値と考えられている。
軌道角運動量を電子が持つと考えられていたため、スピン角運動量がその量の半分の値であるのは、バランス的にもちょうどいいと考えられてきたのだろうか?
ところが、軌道角運動量は向心力の運動量であり、
電子が持っている運動量ではない。
向心力の運動量とスピン角運動量とは基本的に全く関係がない。
向心力が大きいからと言って、電子の自転(スピン)が桁外れに速くなるというような都合の良いメカニズムは存在しない。
そもそも、質点(点粒子)であるなら、スピン(自転)など存在しない。
軌道角運動量を考えるときには質点と考え、
質点でありながらスピンを考える。
全く矛盾している。
そして、電子の線運動量は、次の項で説明するように、角運動量の基本単位と考えられている値h/2πに比べると、はるかに小さい値であるという事実が判明した。
つまり、電子の全運動量はスピン角運動量のみということになってしまう。
- 電子の全運動量 = 線運動量 + スピン角運動量 ≈ スピン角運動量
しかし、どう考えても、スピン角運動量の方がそんなに大きいはずがない。
惑星の場合も巨大惑星を除けば、並進の運動量のみと言っていいからです。
電子の<span style="color:blue; font-size:12pt">半径すら確定していない</span>し、電子のスピンの角速度も当然分かっていない。それなのに、スピン角運動量がどうして確定しているのだろう?
電子のスピンが本当にプランク定数の2分の1であるなら、
電子を剛体球と仮定すると、光速(3.0e8 m/s)をはるかに凌駕する表面速度(1.45e18m/s)で自転(スピン)していることになってしまう。それが本当なら、電子の上の住人はタイムトラベルを楽しんでいるだろう。
スピンとは普通の自転と違うものなのだろうか?
ところが、南部陽一郎の著書(参考文献[32] p.63)に以下のように書かれてある。
- 「電子のスピンとは、ある意味コマのような自転を表わすものであり、光の偏光のような内部構造を表わすものである。」
やはり、普通の自転に過ぎないことが分かる。
そうであるならなおさら、全てが矛盾している。
南部陽一郎が言っているように(参考文献[32] p.189)、確かに、
- 「力学に比べて、素粒子物理は一般的にずっと粗雑である」