角質量係数とは天体の組成を表わしている
角慣性(慣性モーメント)Cmr2の定数Cは、物理の教科書では特別な名称を付けていない。
天文学では、惑星や衛星の角慣性(慣性モーメント)を比較するために用いられる。簡単に言えば、惑星や衛星の組成の違いを表わしている。
太陽系の具体的な値はここを参照。
角質量係数
Coefficient of Angular Mass
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} 角質量係数C=&\frac{I_{c}}{mr^{2}}\\ =&\frac{2}{5}: 均質な剛体球\\ =&0.059: 太陽(Sun)\\ =& 0.3308: 地球\\ I_{c}:&重心回りの角慣性\\ m:&質量[kg]\\ r:&半径[m]\\ \end{align} } $ } } \]
英語では、Moment of Inertia Ratioと言われているが、
なぜか日本語の名称は決まっていないようです。
確かに、比率(ratio)と言えばその通りだが、摩擦の場合の摩擦係数と同様に係数と言ったほうが分かりやすいので、ここでは「角質量係数」と呼ぶことにする。
なぜ「角慣性係数」ではなく「角質量係数」なのかは、拙著をご覧ください。
太陽系の惑星や衛星は、大雑把に言えば、
均質な剛体球のときの2/5に近い。
ところが、太陽だけ極端に小さい(0.059)。
これは、なかなかイメージできない。
本当にこんなに小さいのかと疑問に思ったりする。
NASAなどのデータ(参考文献29、30)に書いてあるが、どうやって計算したかは示されていない。
北大の講義ノート(参考文献[31])には計算式が示されている。
太陽の場合、
均質な剛体球の値(2/5)、そして、公式な値(0.059)、
角質量係数の違いはたかだか7倍の違いでしかない。一桁にも及ばない。
しかも、惑星の場合は、線運動量mrVに比べて、
角運動量(自転)は無に等しいレベルなので、
いくら正確な角質量係数を使用したとしても、ほとんど意味がない。
いずれせよ、太陽に運動量が集中していることに違いはない。
- 99.71%:均質な剛体球の角質量係数C=2/5=0.4で計算
- 98.28%:公式な角質量係数(太陽0.059、地球0.3308など)で計算
結局、均質な剛体球と仮定したほうが単純だし理解しやすい。
0.059などの値は、結局、間接的に計算されたものだし(参考文献[31])、どれほど正確か評価しにくい。不確実なデータで比較するより、まずは均質な剛体球として比較するだけでも十分だろう。