段差で自然に下る距離は真のグリーンスピードより長い
Rolling distance of a downhill tier added by gravity alone
is longer than Real Green Speed

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斜面を含めた下りの距離のキーは傾斜の強さg=1 (2011年、日本)











段差で自然に下る距離は真のグリーンスピードより長い





段差で自然に下るときの距離(斜面を含めた距離)は、傾斜の強さg=1のときにもっとも短くて、傾斜角を上げて行くにつれて、長くなって行く。


では、なぜ、真のグリーンスピードよりも長くなっているのでしょうか?





g=1の場合は、軽く触るだけで転がり始め、斜面の間だけ等速で転がって停止する。つまり、転がる距離は、斜面の長さと一致する。


g=1(傾斜角5deg程度)のような傾斜は、通常、段差とは言わないが、
科学的に見れば違いはない


そして、この時に転がる距離の意味を正しく説明できるかどうか、つまり、勾配の影響を正しく説明できるかどうかが、正しい科学かどうかの分かれ目であり、その証明となる。


g=1のときの斜面の長さには、以下のようなおもしろい関係がある。


g=1のときの斜面の長さが真のグリーンスピードより少し長い理由
(世界初の新発見!!)





式(2-28)式(2-4)及び、式(2-4-1)から、g=1と真のグリーンスピードとの関係以下のように表わされる。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} g=&1\\ =&\frac{10}{7}g_{r}\tan{\theta}\frac{G_{s}}{V_{s}^{\hspace{3pt}2}}\\ =&\frac{10}{7}g_{r}\tan{\theta}\frac{G_{n}}{V_{n}^{\hspace{3pt}2}}\\ =&\tan{\theta}\frac{G_{n}}{h}\\ \therefore& \tan{\theta}=\frac{h}{G_{n}}…{\normalsize(2-4-2)}\\ &G_{s}: グリーンスピード\\ &G_{n}: 真のグリーンスピード\\ &V_{s}: Stimpmeterの初速1.83m/s\\ &V_{n}: Stimpmeterの初速1.91m/s(摩擦なし)\\ &h: Stimpmeterの高さ(0.2606m)\\ \end{align} } $ } } \]


このように、非常にシンプルな形になる。
つまり、g=1のときの段差の底辺は、真のグリーンスピードと完全に一致する。
ただし、これはあくまでも、段差の高さがStimpmeterと同じケースですが、それにしてもおもしろい関係です。

Rolling distance of a downhill tier added by gravity alone is longer than Real Green Speed

Stimpmeterと同じ高さの段差のときに、
g=1の斜面の長さは、真のグリーンスピードに近い値になるのは、この式が明らかに示している。


g=1のときの勾配は5deg程度なので、斜面の長さは底辺の長さ(Gn)とほとんど同じで、少しだけ長くなる。


斜面の長さが計測したグリーンスピードと一致するのではないか?、とか、
真のグリーンスピードと一致するのではないか?、という予想もしたくなるのですが、そこまで単純ではない


このように、斜面を含めた下りの距離のグラフ(上記)の意味が完全に理解できた
分かってしまえば、なるほど、と思える。


この事実に、誰も今まで気づかなかった。おそらく、世界初の新発見です。
私自身、1983年から28年もの間、g=1のときの斜面の長さにこのような法則性があることに気づかなかった。


結局、傾斜の強さは、グリーンスピードに比例するので、グリーンスピードに応じてg=1の傾斜角が決まるため、斜面の長さも自ずと決まる。


分かってしまえば、至極当然のことですね。


エネルギーロスがないという共通点





このように分かった上で考えてみると、hとGnが関係するのは実にもっともらしい


Stimpmeter(高さh)で、位置エネルギーを100%利用できたと仮定したときに(Stimpmeterとの摩擦がゼロ)、真のグリーンスピードGnだけ転がる。


一方、傾斜の強さg=1のときには、傾斜の強さと摩擦が打ち消しあって、斜面を転がる間にエネルギーロスがない


つまり、この2つの現象は状況は違っても、エネルギーロスがないという点で共通している。


だから、上記の式(2-4-2)がhとGnで表される、というのは当然と言える。


傾斜のメカニズムが1つの統一理論として完成!!





この明快な事実が明らかになったことで、
普通の傾斜(傾斜の強さg=0〜1)、そして、段差を含む止まらない傾斜(g≧1 )を全て一貫して説明できる統一理論が完成したことになります。





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