転換のエネルギーロスはゼロという基本原理がすべてのはじまり








 

 
 
パターでボールをヒットした(撃力を加えた)とき、
もっとも基本的には最初は並進速度のみで、
そこから回転を始め、比較的すぐに真の転がりになる。
 

「真の転がり」の初速 (2011年、日本)

 
 
パットした時、回転(正回転あるいはバックスピン)を加えた場合、
加えなかった場合も同様ですが、
転がりの基本原理」に従って、並進と回転の運動量(速度)の合計の一部が、エネルギーロスなく回転運動に転換される。
 

並進と回転のエネルギー比は5:2なので、
並進と回転の合計のエネルギーの5/7倍が並進エネルギーになり
2/7倍が回転エネルギー(ボールの中心回りの回転)になる。
 
それが「真の転がり」となった時点です。
 
つまり、「真の転がり」の初速は、√(5/7)・(V0+γ0V0)ということです。角速度だから√(2/7)倍、と勘違いしやすいので、注意が必要です。
 
以下のように式を立てるとはっきりする。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} \frac{1}{2}I_{c}&\omega_{t}^{\hspace{3pt}2}=\frac{1}{2}m (V_{0}+\gamma_{0}V_{0})^{2}\frac{2}{7}\\ \therefore \omega_{t}=&\frac{(V_{0}+\gamma_{0}V_{0})\sqrt[]{\frac{5}{7}}}{r}\\ &\omega_{t}:「真の転がり」の初角速度\\ &V_{0}:並進の初速\\ &\gamma_{0}:加えた回転を並進速度換算する係数\\ &I_{c}:中心回りの慣性モーメント\\ &r:ボールの半径\\ \end{align} } $ } } \]
こういう単純明快な発想を、今まで誰も考えつかなかったのは、根本的な考え方が間違っていたためですが、それにしても実に不思議です。


回転を加えないケース(バックスピンがかかったケースも含めて)

 
 
計測データ(その1)のケースで、回転もバックスピンもかかっていないと仮定してみると、転がる距離は以下のようになる。
 
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} 1.667ft +G_{s}\frac{(V_{0})^{\hspace{1pt}2}\frac{5}{7}}{V_{s}^{\hspace{3pt}2}}\approx&19.92ft\\ \approx&約20ft (計測値)\\ V_{0}:&並進の初速(2.79m/s)\\ V_{s}:&Stimpmeterの初速(1.83m/s)\\ G_{s}:&グリーンスピード(11ft)\\ \end{align} } $ } } \]
 
このように、実際の計測値(約20ft)とほぼ同じ値が計算できる。
並進の運動エネルギーのみの状態から真の転がりに転換するエネルギーロスはゼロという転がりの基本原理の正しさを唆している
 
私が、2011年に、「真の転がりになるまでの間のエネルギーロスがゼロだと気づいたのは、まさに、この概算をしてみたことがきっかけだった。それが、「転がりの基本原理」を再構築することにつながった。
 
それは、斜面での転がりを30年近く考え続けてきた私の必然的な運命だったという気がする。
 
後で解析するように、計測データ(その1)はわずかにバックスピンがかかっているだけなので、計測値とほぼ同じ値が上記の式で概算できるのは必然です。
 
計測データ(その1)の記事には、実験したときの詳しい状況の説明がないため、はっきりしたことは言えませんが、おそらく、パッティングマシーンのような機械的な方法で実験したと推測できるので、この解析結果はもっともらしい。
 
Stimpmeterでグリーンスピードを測定する時には最初から転がっている(滑っていない)ので、実際のパットの場合でも、このように、真の転がり」になった後の距離は、グリーンスピードを用いてほぼ正しい値が計算できるのは当然です。
 
逆に、もしもそうでなければ、
Stimpmeterでグリーンスピードを測定することが無意味になってしまう。
 

回転を加えた場合

 
 
計測データ(その2)を検証してみよう。
 
 
まず、最初は並進のみで回転していない、と仮定してみる。
上記と同様にして、転がる距離は、
 
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} 1.583ft +G_{s}\frac{(V_{0})^{\hspace{1pt}2}\frac{5}{7}}{V_{s}^{\hspace{3pt}2}}\approx&14.78ft\\ \ne&約19ft (計測値)\\ V_{0}:&並進の初速(2.271m/s)\\ V_{s}:&Stimpmeterの初速(1.83m/s)\\ G_{s}:&グリーンスピード(12ft)\\ \end{align} } $ } } \]
 
このように、実際の測定値(約19ft)より約4ft(1.3m)も短くなってしまう。
これは、最初に回転を加えている明白な証拠です。
 
これを正確に求めるためには、まずは、「前のめり転がり」の時間と長さをどうやって求めるかを考える必要がある。
 

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