Stimpmeterとグリーンスピードを利用する正確な方法
段差では、上りと下りとでまったく異なる。
特に、下りは、力を加えなくても自然に転がり落ちて行くので、他のケースのように平面の距離感の何倍転がるのかという考え方はできない。
下りの場合は、Stimpmeterの条件とグリーンスピードの値を利用する以外の方法はない。
つまり、グリーンスピードを知っておく必要がある。
Stimpmeterの条件:
- 傾斜角20deg
- 斜面の長さ0.7620m
- 高さ0.2606m
段差で自然に転がり落ちる距離を正確に求める考え方(2011年、日本)
まずは、具体例で考えるのが分かりやすい。
典型的なグリーンスピード7.5ft(2.286m)で考えてみる。
「Stimpmeterの条件」と同じ段差の傾斜の強さgsは式(2-28)より、
よって、斜面の摩擦がない場合に比べて、
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} \frac{g_{s} -1}{g_{s}}倍の力\\ \end{align} } $ } } \]
がボールに加わる。
傾斜の強さgは、摩擦の力を1と見なして、その何倍かで表されるので、真っ直ぐ下っている時には、(gs-1)という力がボールに加わる。
摩擦をほぼ無視できるStimpmeterの初速は1.83m/sですが、
この段差のケースでは、gs≈3.48という力だけが加わった時の加速で達する速度が1.83m/sであると見なすことができる。そのとき、グリーンスピードと同じ7.5ft(2.286m)だけ転がる。
正確に言えば、Stimpmeterの摩擦がゼロと仮定した時に、初速1.91m/sなので、その時に転がる距離は、7.5ft ×(1.91/1.83)2≈8.17ftとなる。
つまり、gs≈3.48という力だけが加わった時に転がる距離は8.17ft(2.49m)ということです。これが『<span style="color:red; font-size:12pt">真のグリーンスピード</span>』です。
Stimpmeter自体のころがり摩擦も意外に大きいということが分かる。
そして、この(1.91/1.83)2倍になると言う関係によって、式(2-30)は劇的にシンプルで美しい形になる。
gsよりも弱い力(gs-1)で加速するので、当然、初速は1.91m/sより小さくなる。初速の2乗、すなわちエネルギーは斜面で加えられた力に比例し、転がる距離も初速の2乗に比例する。つまり、段差の下を転がる距離は、斜面で加えられた力に比例する。
だから、(gs-1)という力が加わった時には、
(gs -1)/gs ×2.286m×(1.91/1.83)2 ≈1.78m(5.82ft)だけ水平面を転がる。
傾斜の強さg=1の段差なら、
(g -1)/g = 0となり、斜面を下り切ったところで止まることが正確に計算できる。
それと同様に、傾斜の強さgが無限大になったとすると、
(g -1)/g ≈ 1となり、グリーンスピードと全く同じ距離だけ水平面を転がることを正しく示している。
90度の垂直の崖を真っ逆さまに落ちて、斜面の抵抗を受けないため、理論的には、全てのエネルギーが水平方向の転がりに使われると仮定すれば、グリーンスピードと同じだけ転がるということです。
以上の考え方を方程式として表わすと、式(2-30)が得られる。