HOME > Golf > 転がりの科学 > 転がりの科学(基本編) > (ステップ2)斜面の基本 > 段差の科学 > 段差を上り切るときの距離感(2011.11.11〜)

段差の上りは普通の傾斜と同じ










段差をちょうど上り切るための距離感(2011年、日本)





これは、通常の傾斜(傾斜の強さg≦1)と全く同じ考え方をすればいい。
平面の距離感の(g+1)倍の強さで打てばいい。つまり、

斜面の長さの (g+1)倍の強さ

で打てばいい。
実に単純です。


段差の下りと上りでは全く異なる考え方をしなければいけない、ということです。


普通の傾斜であれば、上りはg値だけ強く打ち、下りはg値だけ弱く打つ、という実に単純で共通の狙い方で対応できるが、段差では上りと下りはまったくの別物ということです。


例えば、典型的なグリーンスピード7.5ftで、Stimpmeterと同じ条件の段差(20deg、斜面の長さ0.7620m)では、傾斜の強さはg≈3.48なので、斜面の長さの約4.5倍の距離感(3.41m、段の上の部分は2.65m)で打つ必要がある。


g=1の場合でさえ、斜面の長さの2倍の強さで打たないと上り切らないのですから、g≈3.48という段差ならこのくらい強く打たないといけないと言うのもうなずけるでしょう。


Stimpmeterと同じ条件だからと言って、決して、グリーンスピードと同じ距離ではない
そして、細貝氏の「パット・エイミング教本」のように、グリーンスピード7.5ft(2.286m) + 斜面の長さ2.5ft(0.7620m) = 10ft(3.05m、斜面の長さの約4.0倍)という単純計算もまったくの間違いです。それでは、上り切らずに戻ってしまう。





わずか1メートル足らずの斜面を上るために、こんなに強く打たないと越えないと言うのは、普通の感覚では想像できないので、どうしても弱く打ってしまいカップに届かない。強く打たないと駄目と分かっていても、なかなか、こんな強さで打つことができないものです。
そこが段差の難しいところです。


PuttingZoneの説明は分かりにくい





Geoff氏がPuttingZoneの説明の中で、グリーンスピード7.5ftで典型的な段差(傾斜角26.57deg、つまり、50%勾配、高低差45cm)を上る時に、7.5ftの強さでは上段まで届かないので、さらに、10ftを少し越える距離を追加する、というようなことが書かれている。
10ftという値が唐突に書かれている
10ftの強さで打つのか、7.5ft+10ftの強さで打つのか、どっちにも取れる。


この典型的な段差から転がり落ちた時にどれだけの距離転がるのかということも書かれていないので、アメリカ人の割に非論理的です。


私が求めた式(2-30)を利用して、この典型的な段差を評価したのが下図です。





11.16ftだけ段差の下を転がることが分かる。


と言うことは、おそらく、Geoff氏は実際にこの典型的な段差から転がしてみて、10ftを少し越えるくらいだったことから、10ftという数値を持ち出したものと想像できる。


あるいは、単純に、高さに比例すると考えて、7.5ft×45/26.06 = 12.95ft(3.95m)と計算し手、摩擦によるエネルギーロスをざっくり差し引いて、10ftちょっとと言っているのかもしれない。
仮にそうだとしても、PuttingZone考え方は論理的ではない


そして、いろいろな角度の段差に応用することができないので、科学的なアプローチとしても中途半端です。

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