オイラー法で転がりの数値計算







オイラー法で用いる転がりの方程式

 
 
a,b,c,dというのもわかりにくいので、各々Vx,V1x,Vy,V1yで表わして、まとめると以下のようになる。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} {\normalsize傾斜方向:}\delta L_{y}=& \frac{V_{1y}^{\hspace{2pt}2}-V_{y}^{\hspace{2pt}2}}{-(f\cdot\sin{\theta}-g)} \hspace{5pt}…{\normalsize(※1)}\\ =&2\cdot{V_{y}}\cdot\delta t-(f\cdot\sin{\theta}-g)\cdot{\delta{t}}^{\hspace{2pt}2} \hspace{5pt}…{\normalsize(※2a)}\\ {\normalsize真横方向:}\delta L_{x}=&\frac{(V_{1x}^{\hspace{2pt}2}-V_{x}^{\hspace{2pt}2})}{-f\cdot\cos{\theta}} \hspace{5pt}…{\normalsize(※1)}\\ =&2\cdot{V_{x}}\cdot\delta t-f\cdot\cos{\theta}\cdot{\delta{t}}^{\hspace{2pt}2} \hspace{5pt}…{\normalsize(※2b)}\\ V_{1y}=&V_{y}-{(f\cdot\sin{\theta}-g)}\cdot\delta{t} \\ V_{1x}=&V_{x}-f\cdot\cos{\theta}\cdot\delta{t} \\ {\normalsize次の}\theta=&\arctan(V_{1y}\hspace{2pt}/V_{1x}) \\ &{\normalsize但し、V_{x}\hspace{2pt},V_{y}の初期値は、}\\ &V_{y}=V_{0}\cdot\sin{\theta_{0}}\\ &V_{x}=V_{0}\cdot\cos{\theta_{0}}\\ &\hspace{55pt}…{\normalsize(3-2)}\\ \end{align} } $ } } \]
 
δtは十分に小さい値(0.0001程度)にして、繰り返し計算すれば、転がりの軌跡が求められる。
 
放物運動は最後には真っ直ぐ落ちる
それに対して、転がりでは必ずしもそうならないので、転がりの最後の部分の計算には少し注意が必要です。
 
通常は(※1)を使う
ただし、g= fで真直ぐに下る部分では、(※1)は使えないので、
(※2a)を使用する速度が変化しないからです。
 
(※2a)、(※2b)で、学校で習う式の2倍になっている理由は、相対的に考えるに示した通りです。これは、等時間間隔で軌跡をプロットしてみればすぐに気づく。
 
微分方程式を解くにはこれをさらに変形して行かねばならないのだが、
オイラー法を使って簡単に計算するには、このような式で十分だし、何を計算しているかが分かりやすいという利点がある。


簡単に距離を計算できない理由

 
 
上記の式(3-2)の中の速度の式を見れば、なぜ積分で簡単に距離を計算できないかがはっきり分かる。
\[ {\Large \fbox{ $ \displaystyle{ \begin{align} V_{1y}=&V_{y}-{(f\cdot\sin{\theta}-g)}\cdot\delta{t} \\ V_{1x}=&V_{x}-f\cdot\cos{\theta}\cdot\delta{t} \\ \end{align} } $ } } \]
 
方向θが含まれるので、これを単純に時間で積分できないからです。
曲がり方を求めるというのは、方向の変化を知ることなのに、それが分からないと計算できないというのは、自己矛盾をかかえている。
 
学校で習うようにx, yの2成分に分解すれば解けるというような単純な問題ではないということです。
 
たとえθの変化が分かったとしても、三角関数を含んだ積分というのは、一般的に言って、解ける可能性が低いことが知られている。
 
そういう理由で、私が1983年にこの問題を考えたとき、微分方程式は解けないだろうとあきらめた。そして、数値計算で転がり方を知ろうとしたわけです。でも、まさかアンケートの正解が(答3)だなんて、予想もしていなかった
 
式を見ただけでこの結果を予想できる人はまずいないので、まずは自分で計算してみることが大切です。

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