学校で教える義務がある
教科書に載っていないから?
なぜ、学校では、斜面での軌跡(曲がり方)を教えないのだろう?
それは謎です。
だぶん、教科書に載っていないから教えないというだけでしょう。
ただし、教科書の中には、質点に関して斜面での曲線運動(摩擦あり)を解いている本はあることはあるが、非常に稀です(私は今のところ<span style="color:blue; font-size:12pt">参考文献[11]</span>でしか見たことがない)。
しかも、その解は不完全であり、説明不足であるために、放物運動との違いに気づく読者・学生は皆無だろうと思われます。
そして、放物運動の学習によって軌跡を求めるという基本を教えているので、斜面の運動に関して同じようなことを教える必要も時間もないという判断でしょう。
学校で教える義務・生徒の知る権利
でも、教えないことによって、間違った常識が蔓延しているという現状が生まれているので、それを素直に反省して、学校で教える義務があると思う。
高校の物理ではもう何十年も前から微分方程式は使わせないというつまらない方針があるけれども、単純な数値計算をするくらいなら許されるでしょう。
数値計算は(仮想的な)一種の実験なので、そういう実験を通して、放物運動と転がりは全く違うという正しい常識を生徒の記憶に焼き付けることが最も大切です。
言葉だけで説明しても、たぶん、すぐに忘れてしまうからです。
放物運動を習っても、人生で役立つことは多分ない。
それに比べて、斜面での転がり方・曲がり方は、はるかに役に立つ。
将来、ゴルフをプレーする人が少なからずいるからです。
物理に興味を持つきっかけになるかもしれませんしね。
生徒には知る権利がある。
高校の先生ですら知らない
某有名高校の物理の先生に"アンケート"を質問してみたところ、
(摩擦が変わらないという条件を説明しなかったので)垂直抗力の減少という理由で答3と答えてくれたが、学校の先生としては模範的な回答と言えるかもしれない。
さらに、摩擦が変化しなかったらどうかをその先生に聞いてみたら、かなり考えてから、(横方向の)初速が同じだから真下で止まる(答1)と答えた。
高校の先生の多くも、たぶんこの先生と同様に、この問題を一度も考えてみたことがないし、正しい答えも知らないと思われる。
私たちが今まで学校で教わらなかったのは、当然と言えるでしょう。
悪循環(悲劇の連鎖)を断ち切ることができなかったからです。
『学校で教わらなかったから、そんなはずはない。」とか『現実と理論は違うからね。』というもっともらしいことを言う人もいますが、逆に、
「自分の考え方をまず疑ってみなさい。」と言いたい。
疑問を持つことが、科学の始まりだからです。
学校の授業は、そういうものであってほしい。