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摩擦の何倍の力なのかで表される

傾斜の強さの値の意味





「傾斜の強さ」とは、摩擦の何倍の力なのかということです。


傾斜の強さ0は、もちろん、平面ということです。
傾斜の強さ0.5では、摩擦のちょうど半分の強さしかないので、最後はボールが止まる。
傾斜の強さ1になると、摩擦と傾斜による力とがちょうど釣り合うので、いつまでたっても止まらなくなる。


傾斜の強さ1を境にして、止まるか止まらないかが分かれる。
現実的には、0.98とか0.99でも止まらないように見えるだろうが、厳密に言えば必ず止まる。
傾斜の強さが1を超えれば、ボールはだんだんと加速して行く。そう言うグリーンも確かにある。


斜面ではすべてが相対的





斜面はすべてが相対的です。


グリーンのような芝であっても、ゴムであっても、
この値(傾斜の強さ)が同じであれば、 まったく同じ曲がり方をする。
相似形の曲線を描く。
打ち出す強さを変えても、相似形であることに変わりない。
例えば、摩擦が2倍でも傾斜角を半分にすれば、傾斜の強さとしては同じなので、曲がり方は完全に一致する。


そういう点では単純です。


このようにすれば、転がり方/曲がり方を客観的に比べることができる。
斜度が5度とか45度のような絶対値には何の意味もない。
グリーンでは、芝を刈ることで、同じ斜度であっても、相対的な関係が変わるからです。


摩擦も相対的





摩擦も絶対的な値ではない


同じ1メートルで止めると言っても、
打ち出す強さは芝とゴムとでは違うけれども、
1メートルで止めるということでは全く同じです。


傾斜の転がりを考えるには、平面での距離感が基準になる。
それ以外の方法はない。
平面のときの打つ強さを基準にするということです。
あるいは、平面で転がる距離が基準と言った方が分かりやすいかもしれない。


空気抵抗(放物運動)は絶対的





一方、空中では重力加速度Gなどの値(絶対値)が決まっているので、
わざわざ相対的に考えることは通常はない。


無重力で空気抵抗だけある状態を基準にしようとしても、
そんな世界を実際に体験(測定)することはできないからです。


傾斜の強さの値を推定することが実際のパットで役に立つ





傾斜の強さを0.3とか0.5のように、
小数点の数値で考えるのは好きじゃないと思うかもしれない。
でも、実際にパッティングをするときに、この値は非常に役に立つ。

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