斜面上のカップにちょうど止めるように打つときの狙い方・狙う位置
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この図は厳密な式を元にして計算したものですが、<span style="color:red; font-size:12pt">簡易的な計算</span>で確かめることも出来ます。
中心で止めるという見せ方の方が確かに分かりやすい
今まで私は、止まらないケースもあるので、
同じ位置からいろいろな方向に打ち出した時の転がり方や狙い方を比べていました。
確かに、「パット・エイミング教本」のように、
円周上から打ち出して、中心で止めるという見せ方のほうが分かりやすい。
狙う位置の変化が閉じた曲線(円や楕円など)としてはっきりパターン化されるので、ズレの大きさや傾向が一目で分かり、イメージしやすくなる。
そこで、細貝氏にならって、同じ見せ方をしてみることにしました。
すると、今まで気づかなかった現象が明らかになりました。
狙う位置の基本はS点
基本的に真っ直ぐの上り・下りのときの狙う位置(S点、
Slope Standards Pointと呼ぶことにする)は、傾斜の強さgの値と一致する。
例えば、g=0.1なら、カップまでの距離の0.1倍だけカップの真上の位置にS点がある。
S点が一致する第3のケース(g≈0.8945)は特異点 (世界初の新発見!!)
S点は、同じ傾斜であれば、真っ直ぐの上りと下りの2つのケースだけです。
今回(2011年10月)の新発見は、g≈0.8945の場合には第3のケースがあることです。
おおよそ斜め30度下側にカップがあるときにも狙う位置がS点と一致する。
そして、狙う位置が描く円や楕円が完全につぶれる、ということも全く予想しなかった。
実に、28年間も気づかなかった。
このきっかけとなったのは、「パット・エイミング教本」です。
打つ位置を時計と逆回りで変えて行くと…
普通の傾斜(g=0.2など)では、狙う位置も同じ向きに回転していきます。
これは、普通の感覚に近いので、違和感はないでしょう。
ところが、傾斜の強さg≈0.8945を境にして、時計回りに変わってしまう。
これは、非常に面白い現象です。
一番奇妙なのは、傾斜の強さg≈0.8945のときで、湾曲線上を一往復する。
狙う方向の延長線は比較的弱い傾斜(g=0〜0.2)では定点を通る
カップをどこに切るのかというコースデザイナーの視点と照らし合わせるとよく一致していることが分かる。
きつい傾斜(g=0.5)では単にきついだけでなく、
狙い方に単純な法則性がないことがパットを難しいと感じさせている。
弱い傾斜や適度な傾斜(g≦ 0.3)は、
法則性を知っていさえすれば、パットが易しく感じるようになる。
それが科学的に証明された。
もしも、狙う位置の描く曲線が、真円のままどんどん大きくなって行くとすれば、傾斜の強さが1に限りなく近づいたときに直径が約0.5という大きな真円になってしまいますが、それはあり得ない話です。そんな単純な現象なら、パットはもっと簡単なはずなので、現実にマッチしない。
今回分かったように、真円からだんだん楕円になり、それが完全につぶれたあと、反対側に突き出して行く、という複雑な現象であることは、分かってしまえば、逆に自然な流れであると、理解できるはずです。
傾斜が強くなると、プロでさえパットが難しくなるのもうなずける。
傾斜の強さg=0〜0.2(弱い傾斜) :
- 狙う位置はほぼ真円(直径はほぼg/2)で、
- 狙う方向の延長線は、ほぼ定点(g/2の位置)を通る。
- このため、非常に単純に狙える。
- パット・エイミング教本で「法則」・「驚くべき法則性」として示されていますが、それは実は弱い傾斜だけに成り立つもので、一般法則とは言えません。
- ただし、一般的なゴルフコースではよくある傾斜なので、実用的な考え方であることは確かです。
傾斜の強さg=0.3(適度な傾斜)〜0.5(きつい傾斜) [通常カップを切ることが推奨される範囲の上限]:
- 狙う位置は楕円(短直径はg値の約48%〜45%、長直径は約49%〜47%)
- おおまかにはg=0〜0.2と似ていますが、
- 厳密に言えば、法則と言えるものはない。
- g=0.5では狙う方向の延長線は明らかに定点を通らない。
- でも、傾斜方向に近い30度程度の範囲では、ほぼ定点(上りと下りそれぞれ別の定点)を通るので狙いやすい。特に、同伴者と10度、20度違っていたとしても、同じ定点方向を狙えばいいので相手のパット(打ち出し方向)がそのまま参考になる。
傾斜の強さg=0.6〜0.7[カップを切れる境界の傾斜] :
- 狙う位置は楕円(短直径はg値の約41%〜35%、長直径は約46%〜43%)
- 法則と言えるものはない。
- 狙う方向の延長線は明らかに定点を通らない。
- でも、傾斜方向に近い30度程度の範囲では、ほぼ定点(上りと下りそれぞれ別の定点)を通るので狙いやすい。
傾斜の強さg≈0.8945(狙う位置が完全につぶれる) :
- 狙う位置の楕円が完全につぶれて、円弧状になる。
- 法則と言えるものはない。
- 狙う方向の延長線は明らかに定点を通らない。
- S点を狙うケースが唯一3方向存在する。
- ここを境にして、狙う位置の描く曲線(真円、楕円、三日月型など)がS点の右側(カップ寄り)になるか左側になる。
- それにしても、実に面白い現象です。
傾斜の強さg=0.9〜1:
- 狙う位置は半月型から翼断面型へと大きく変化する(通常のサイズを参照)。
- 法則と言えるものはない。
- 狙う方向の延長線は明らかに定点を通らない。
- 狙う位置の描く曲線(三日月型など)がS点の左側(カップと反対側)になる。