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プロローグを読んでどう思った? (アンケートの答)



これまでの話(プロローグ)を読んでみた人に質問すれば、以下のような典型的な反応を示すだろう。
これはある知人との実際のやり取りを多少アレンジしたものです。
このような会話を見ただけで、この問題をなかなか理解することはできないことがよくわかる。


真下に止まる。の答え1。当たったでしょう?



少年『ざっと見てみましたが、何を言いたいかが分かりません。』


蜂の子「とりあえず、"アンケート"に答えてみてくれるかな。」


少年『真下に止まる。の答え1。当たったでしょう?
一定の摩擦、一定の力の場合は同じ距離進むはず。
傾斜があるから、ボールが曲がるのは重力の親戚のせい。でしょう?』

正解は(答3)、向こう側に回り込む





蜂の子「実にまっとうな論理です。僕も最初はそう考えていた。
高校の物理を真に受けていると、そういう模範的な回答しか出ないから、誰も疑問に思わないんだよね。きっと。


正解は(答3)、向こう側に回り込む、です。」

加速するから?



少年『(しばらく考えてみてから、)答3の様な感じがしてきました。
傾斜の角度によってはそのような答えが出るかもしれません。
傾斜があるために、ボールに運動能力が加わり到達点が増すかもしれませんね
この見解はどうです?』


蜂の子「僕も最初そう思った。
でも、最後に止まる場合は、絶対に加速しないのでボールにエネルギーが加わることもない。
重力は進行方向を変えるのにエネルギーを使うだけだから、摩擦に逆らって加速することはないんだよね。

まっすぐ転がり落ちるときでさえ加速しない



なのになぜ到達点が延びるのか分かる?
加速すれば君の見解のようになるかもしれないけど、加速しないのになぜかと言われると、混乱してくるでしょ?」


少年『なぜだろう?
でも、どうして絶対に加速しないって言えるんですか?』


蜂の子「もっともな疑問だね。
一番加速しそうなのがどこかを考えてみればすぐに分かる。
それは、傾斜に沿って真っ直ぐに転がり落ちる場合だよね。
でも、必ず止まるんだから、そのケースでも加速はしないってことだよ。
だから、曲がっている途中でも絶対に加速しないってこと。」

越えるためのエネルギーは転がりから生まれるってこと?

少年『なるほど。
でも、転がるボールが僕の頭の中では、1メートルを超える事は今のところ無いのですが、
もし、1メートルを越えるとして、その越えるためのエネルギーは、転がりの時に生まれる訳よね。
地球の自転とかも多分関係ないし、最近重力の方向が変わったとか聞いたことないし。
"転がり"と言うのに何かヒントがありそう。そうでしょう?
転がる事によってボール自体に横方向のエネルギーが生まれる。
つまり、位置エネルギーがボールの回転によって変換されたってこと?
なんだか分からない。』

言葉では説明できない

蜂の子「なかなか論理的な展開!!
考えれば考えるほど、『1メートルを超える事は今のところ無い』と思ってしまうんだよね。そこが蟻地獄なんだよ。


今言ったばかりだけど、加速しないので全体のエネルギーは増加しない。横方向のエネルギーも増えたりしない。重力は横方向に仕事をしないからね。


でも、この理由を言葉で説明することはできないよ。
それができれば、とっくの昔に理解していたでしょ。


転がるか滑るかはどっちでも根本的には同じだよ。
転がっていること自体に意味はないってことだね。」

実験したの?

少年『実験はしてみたんですか。』


蜂の子「まー、こんな根本的には単純な物理現象は、正確な実験をするまでもなく計算が正しければ正しい、と言っても間違いじゃないんだけどね。


でも、僕も最初に計算結果を見たときには信じられなかったし、ごく単純な実験をしてみてやっと納得したくらいだから、なかなか信じられないのは当然だと思うよ。』


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長い会話をしても納得できない

これだけ長い会話をしてもなかなか納得できないくらいなので、今まで誰も疑問に思わなかったのは本当に何の不思議でもない。


気をつけてほしいのは、ここでの説明は、あくまでもアンケートの絵のような方向に打ち出した場合だけです。打ち出す方向が変われば状況は全く変わるということを忘れないでください。

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